テキストコミュニケーションのコツとは?誤解やトラブルを防ぐ8つのポイント

テレワーク,働き方

新型コロナウイルスの感染拡大でテレワークを導入したものの、コミュニケーション面での課題を感じている企業も少なくありません。テレワークではメールやチャットでの対話が主になるため、意見が伝えにくいという声も存在します。

この記事ではテレワークでのテキストコミュニケーションを円滑にするコツを紹介します。

テレワークの拡大で高まる「テキストコミュニケーション力」の重要性

まずは、テキストコミュニケーションとは何なのか、それが何故いま重要視されているのかといった、テキストコミュニケーションの概要について解説します。

テキストコミュニケーションとは?そのメリット・デメリット

テキストコミュニケーションとは、メールやチャットのように文書(テキスト)をやりとして行うコミュニケーションのことです。ビジネスにおいてテキストコミュニケーションのメリットは主に2つあります。

ひとつには「情報が明文化されること」、ふたつには「後から見返せること」です。これらの特性により、指示内容の明確化や、「言った/言わない」の問題が抑止できます。文章化されることで情報が可視化され、理解や共有をされやすくなるのです。

他方、「対面とは違うコミュニケーションスキルが必要」というデメリットもあります。文面からは相手の顔や口調が分からないので、書く側には表現力が、読む側には読解力が求められます。どちらが欠けても伝達ミスが生じたり、誤解が生じたりしがちです。

例えばテキストベースでは、一般的に要点を押さえて内容を伝えるのが望ましいです。しかし、簡潔さを意識して連絡した結果、冷たい、不躾、などと感じられてしまうこともあります。文章で分かりやすさと親しみやすさを両立するには特別なスキルが必要なのです。

テレワークを円滑に進めるためには「テキストコミュニケーション力」が必須に

テキストコミュニケーションが重要性を増している背景には、私達が現在直面している新型コロナウイルスのパンデミックの影響が色濃くあります。感染予防のために外出の自粛が政府から要請される中、テレワークを導入する企業が急増したのです。

テレワーク環境においては、口頭での会話に代わってチャットやメールでのコミュニケーションが多用されます。しかし、先に述べたようにテキストコミュニケーションは対面での会話と勝手が違うので、コミュニケーションに難を覚えている企業が多いのです。

実際、テレワークの実態を調査する各種調査でも、「コミュニケーションの取りづらさ」はテレワークのデメリットとしてしばしば上位に挙がります。微妙なニュアンスが伝わりにくい文字のやり取りに、困難さを感じている人が多いのです。

出典元:株式会社LASSIC
参照元:ザイマックス総研の研究調査
参照元:テレワークへの移行で、私たちの働き方はどう変わった?288人のアンケートとその考察
参照元:【メリット・デメリット】テレワークへの意識はコロナ禍前後でどう変わった?さまざまな意識調査からその実態に迫る

このようにテレワークが増え、コミュニケーションの仕方がテキストベースへとシフトする中で、トラブルを避けテレワークを円滑に進めるための手段として、テキストコミュニケーション力の向上が多くの企業にとって必要というわけです。

苦手を克服!テキストコミュニケーションをスムーズに行う5つのコツ

では、テキストコミュニケーションスキルを上げるにはどのようなポイントに気をつければよいのでしょうか。続いては、テキストコミュニケーションをスムーズに行うための5つのコツについて解説していきます。

1.「5W1H」を意識する

テキストコミュニケーションスキルを向上させる第一のポイントは「5W1H」を心がけることです。「5W1H」とは、英語における6つの疑問詞(Who, Why, What, When, Where, How)を意味します。

つまり、「誰が、なぜ、何を、いつ、どこで、どのような方法で」行うべきか明確に伝えるよう心がけることで、テキストコミュニケーションにおける誤解を抑えられます。例えば、以下のテキストを読み比べてみてください。

A:「〇△商事の方が明日来るので、対応をお願いできますか?」

B:「〇△商事の田中さんが明日15時に来社します。~の案件に関する書類の受取りをお願いできますか?」

Aの文よりもBの文は情報量が増えて内容も明確になり、対応を頼まれた人も、自分がいつ何をすればいいのか、スケジューリングや心構えをしやすくなるのが分かるかと思います。

もちろん、Aの文でも頼み事の内容はなんとなく察せられるかもしれません。口頭であれば、「ああ、田中さんのことですね。何時に来るのですか?」とその場で聞き返せば済みます。

しかしテキストでのやりとりは、口頭よりも手間がかかるため、些細なことで何往復もやりとりが発生しお互いのストレスになります。また、もしお互いの認識に食い違いがあれば、頼み事をした相手や取引先に迷惑がかかるかもしれません。

対面のやり取りならば雰囲気でなんとなく伝わる情報も、テキストでは読み取るのが難しい場合が多いです。それゆえ情報は小出しにするのではなく、最初からなるべく丁寧に開示して、少ないやりとりで連絡が済むよう工夫することが大切です。

2.初めに結論やメッセージの目的を述べる

初めに結論やメッセージの目的を述べるのも有効な手法です。最後まで読まないと用件や結論が分からない文章の場合、相手は読んでいる最中に思考が定まりません。

それよりは最初に、「~の件について」「~をしたいのですが、その理由は…」と始めた方が、読む側は相手がどこに話を持っていきたいのかを把握した上で文章を読めるため、効率的に理解が進みます。

3.文字量を減らし、簡潔なメッセージを心がける

テキストを書く際は、文字量を減らし、なるべく簡潔なメッセージを心がけるのも大切です。長いメッセージは確認するのに時間がかかるうえ、情報を整理する負担を相手に与えてしまいます。

それゆえ、とりわけ社内チャットでは、「お疲れ様です」のような定型句は省略するのがおすすめです。用件のみを簡潔に伝えることで、文章量が削減できます。また、チャットツールの機能を活用し、過去のやり取りを引用するのも文章量の削減に効果的です。

4.絵文字やちょっとした一言で、印象を柔らかくする

気心の知れた同僚や上司相手なら、絵文字を使ったり語尾を工夫したりして、テキストの印象を柔らかくするのも効果的です。たとえば、「ありがとう」と「ありがとう!」では、後者の方がより感謝の熱量が伝わります。

あるいは、何かの報告を受けたとき、「承知しました。」と一言返信するだけより、「承知しました。助かります!」などと、お礼を添えたり労ったりすることで、テキストコミュニケーションにおいても相手との良好な関係を維持しやすいです。

テキストコミュニケーションにおいては、たしかに表現を簡潔にすることが大切です。しかし、なぜ表現を簡潔にした方がいいかと言えば、それは相手とのコミュニケーションを円滑に進めることが目的としてあります。

それゆえ、あまりに無味乾燥なメッセージを送って相手に素っ気なさや冷たさを感じさせては本末転倒です。用件はポイントを的確に押さえて簡潔に伝えつつ、相手への配慮を忘れない、そのバランス感覚がテキストコミュニケーションでは求められます。

5.メッセージを受け取ったら「即リアクション」が基本

相手への気遣いという点では、メッセージを受け取ったら即リアクションをするのも大切です。チャットツールなどでも、送られたメッセージが相手に読まれたかどうか確認する手段のないものも多くあります。

そのため、メッセージの発信者は「きちんと読まれたか、いつ返信が来るのか」と気になってしまいます。それゆえ、たとえすぐに回答したり対処したりするのが難しい内容でも、「確認したこと」だけはすぐに伝えるのがおすすめです。

具体的なリアクションについては、「~日までに処理します」とか「目途がついたら改めて連絡します」と添えれば十分です。時間をかけて一連の作業をしてから返信をするより、まずは相手の連絡を確認したことを伝えた方が好印象を与えられます。

注意点は?文字のやり取りで誤解やトラブルを生まないための3項目

前項のポイントを踏まえたうえで、文字でのやりとりで誤解やトラブルを生まないためにはどのようなことに注意したらよいのでしょうか。続いては、テキストコミュニケーションの注意点について3つ解説します

1.一文一義を徹底し、曖昧な表現は避ける

文章を書く際には、より文章がコンパクトに分かりやすくなるように「一文一義」の書き方をするのが大切です。一文一義とは、ひとつの文に込めるのを、ひとつの情報だけにとどめることを意味します。

たとえば不必要に「~が、」で文章を繋げて長々と連続させていくのは避けましょう。ひとつの文の中に多くの情報を詰め込みすぎると、読み手は混乱してしまいます。

また、「~かもしれない」などの曖昧な表現も誤解の元になりかねません。業務上の連絡は事実関係を明確にし、はっきりと物事を伝えられるような表現を心がけましょう。

2.社内で使われる言葉の定義を明確にする

不要な誤解などを避けるために、社内でよく使われる言葉の定義を明確にすることも大切です。とりわけ新入社員などは、業界用語や関係者だけで使う隠語の意味を十分に知らない可能性があります。

言葉の定義や理解が曖昧であれば、それが原因で誤解やミスが生じる恐れも否定できません。それゆえ、よく使う単語はマニュアルにその意味を記載するなどして、認識の統一を図るのがおすすめです。

3.状況に応じて、電話やZoomなどのWeb会議ツールも併用する

テキストでのやりとりにこだわらず、必要次第では電話やWeb会議ツールなどを併用することも大切です。テキストでのやりとりは、テレワークにおけるコミュニケーション方法のひとつに過ぎません。

たとえば質疑のラリーが長く続きそうな場合、メッセージだけでは簡潔に状況を説明できない場合などは、適宜電話やZoomなどのWeb会議ツールを活用し、口頭でのやり取りに移行するのがおすすめです。

テキストコミュニケーションにおいて大事なのは、相手が理解しやすい簡潔なメッセージを書くことです。相手への敬意や配慮を守りながら、分かりやすい文章を書くように心がけてください

相手のことを意識しながらテキストコミュニケーションのスキルを身につけよう

テキストコミュニケーションスキルは、テレワークにおいて、他のメンバーと円滑に業務を進めるためには不可欠なスキルです。プラザクリエイトでは、ここで紹介したテキストコミュニケーションのコツを含む「リモートワークと出社勤務を併用したハイブリッド体制のためのガイドライン」を策定し、その内容を公表しています。テレワーク下における社内のルール作成に悩んでいる企業担当の方は、ぜひ活用してみてはいかがでしょうか。

「リモートワークと出社勤務を併用したハイブリッド体制のためのガイドライン」