テレワークの普及で、社内コミュニケーションが停滞?業務への影響や、活性化の方法、成功事例までご紹介

テレワーク,働き方

コロナ禍でテレワークが普及した事により、社内コミュニケーションが停滞していると言われています。ある調査では「テレワークで企業が感じたデメリット1位」にもなっています。コミュニケーションが停滞すれば、通常業務に支障をきたすだけでなく、人材とのエンゲージメントにも影響します。今回は、企業が抱えるコミュニケーション課題の実態や、活性化の方法、そして実際に社風の改善やコミュニケーション活性化に繋がった企業事例をご紹介します。

社内コミュニケーションにおける企業課題

コロナ禍以降、企業は「社内コミュニケーション」に大きな課題を抱えています。詳しく見ていきましょう。

企業が抱えるコミュニケーション課題

社内のコミュニケーション不足は、コロナ禍によるテレワークの普及で加速したと言われています。帝国データバンクの調査「企業のテレワーク実施状況と感じたメリット・デメリット(2022年)」(有効回答企業数:1,837社)では、テレワークのデメリットの1位が「社内コミュニケーションが減少する、意志疎通が困難(26.6%)」となっています。

テレワークでは必要最低限のコミュニケーションしか取れず、雑談や気軽な相談などで相手の状況や想いを知る機会が減ってしまいました。また、部署間などのコミュニケーションが特に難しく、アイデアやイノベーションが生まれづらくなったという声も聞かれます。

【出典】企業のテレワーク実施状況と感じたメリット・デメリット/帝国データバンク

社内コミュニケーションが不足した場合のデメリット

社内コミュニケーションがうまくいかない場合、どのような弊害があるのでしょうか。情報共有がうまくいかなければ、ミスが起きても上司が把握できず大きなトラブルに発展したり、業務が属人化してしまい担当者が不在の場合に仕事が回らなかったりします。また、コミュニケーション不足によりチーム内や社内での連携が乏しくなり、個人プレーが目立ってきます。そうなると、円滑な人間関係にも支障をきたし、社内の雰囲気が悪化。やがてエンゲージメントの低下や、優秀な人材の休職・離職を促してしまいます。

実際に、2023年のHR総研の調査「社内コミュニケーションに関するアンケート」(有効回答:282件)を見てみましょう。企業の人事責任者・担当者に対し「社内コミュニケーションが不足する事でどのような業務障害を起こすか」を問う質問について、

◎迅速な情報共有…85%

◎部署内のチームビルディング…71%

◎部門間・事業所間の連携…66%

※従業員数1,001名以上の企業の数値

という回答が上位となっています。

【出典】【HR総研】「社内コミュニケーション」に関するアンケート/ProFuture株式会社 HR総研

社内コミュニケーションを活性化する手段

それでは、社内コミュニケーションを活性化するにはどのような方法があるのでしょうか。

現状把握

まずは、社内のコミュニケーション課題を洗い出します。方法としては、各部署のマネジメント層にヒアリングするという手段もありますが、1on1などを活用して社員一人ひとりの声を聴くことも大切です。また、時間が無い、人的コストがかかる等の場合は「従業員サーベイ」を実施する方法もあります。例えば、

◎社内の人間関係は良好だと感じる
◎気軽にアイデアを出したり、相談できたりする
◎上司・部下の関係性は良好だと感じる
◎多様性が尊重されている社風だと思う
◎困った時は、お互いにサポートし合える関係性がある

などの設問を設け、5段階の評価制とします。その結果を踏まえ、部署ごとに課題に沿った対策を練ります。

意識づくり

近年「理念経営」が注目されています。年功序列や終身雇用などの日本的雇用制度が崩壊し、「大転職時代」とも言われる昨今。優秀な社員の採用・定着に悩む企業も少なくありません。

しかし、企業側が明確に経営理念やミッション、ビジョンを策定し、それをしっかりと共有していれば、従業員が「何のために仕事をしているのか」が明確となり、人材とのエンゲージメントが向上します。ただし、経営理念を掲げるだけでは共感は得られません。経営者が朝礼や会議などで、しっかり自分の言葉で従業員に伝える事が重要です。その上で、理念やビジョンを実現するための目標に落とし込み、1on1などで一人ひとりと考えを擦り合わせる事も必要です。これによって、

◎社員が同じ方向を向いて業務に取り組める
◎理念に共感した人材が入社する
◎業務における行動・判断基準が明確になる

などのメリットがあります。筆者は理念経営を実行している企業を取材する機会が多くありますが、理念が明確でかつ従業員に浸透している組織ほど、離職率が低く、採用ミスマッチも起きていない印象です。また、一人ひとりが自律的にイキイキと働いており、経営者から「自分がいなくても会社は回るのでは」という声もよく聞かれます。

仕組みづくり

もう一つは、仕組みや環境づくりです。例えば、フリーアドレス制を導入し、部署関係無く一緒に仕事ができるようにすれば、新たな交流が生まれ、アイデアやイノベーションが生まれやすくなります。最近では、社内にカフェなどのスペースを設ける企業も増えてきており、会社を挙げて気軽なコミュニケーションを推進しています。

他にも、コミュニケーションツールを導入する方法があります。例えば、ある従業員の良い行動に対して、別の人がツール上で「賞賛」を送り、それをポイントとして貯めるとリワードに交換できるという「Unipos」というツールがあります。従業員同士が賞賛を送り合うだけでなく、そのやり取りを見た別の従業員が「拍手」を贈ることもできます。そうして、お互いに賞賛し合う「文化」を醸成する事ができます。

【参考】Unipos

社内コミュニケーション活性化 成功事例

最後に、社内コミュニケーションの活性化や社風の変化に成功した事例をご紹介します。

理念の共感で、ネガティブな会話が減少/ミクセル

研究支援事業・ヘルスケア事業などを手掛ける広島県の株式会社ミクセルは、2023年版「働きがいのある会社(日本)」若手ランキング5位に選ばれています。かつての同社は、決して「仲が良い」とは言えない社風で、若手の離職率も高かったそう。そこで取り組んだのが「理念の共感」です。幹部合宿を経て経営理念を作り、その理念を毎日従業員の誰かが自身に紐づけてスピーチする「日替わり社長」という取り組みを実施しています。従業員それぞれが経営理念を自分ごとと捉えることにより、理解が深まり、自身がそれに基づいてどう行動すれば良いのかを判断しています。結果、同社は自律的な組織に変化し、若手の離職率も大幅に改善。今では、社員たちのネガティブな会話がなくなり、「愚痴より先にどう改善するか」を考えるようになったと言います。

【参考】経営理念の共感へ 社内体制の整備、自ら考え動ける組織づくり(株式会社ミクセル)/広島県
https://hint-hiroshima.com/keiei/jirei/feature4/000562.html

フリーアドレス制度の導入で、部署間コミュニケーションを活性化/カルビー

カルビーでは、コロナ禍以前より「フリーアドレス制度」を導入しています。従業員が固定席を持たず、当初は入口のダーツシステムでランダムに席を決めていました。さまざまな部署のメンバーが隣り合って仕事をする事により、テレワークが主となった現在でも対面のコミュニケーションがスムーズとなっているそうです。さらに、働き方がオンラインになって以降は、各チームや部署から「雑談のみ」のチャットの設置や、オンラインで繋がっているだけの「時間」を設ける等の工夫が発生しました。コロナ禍において、多くの企業の課題となった「コミュニケーションに苦労している」という話は、同社ではあまり聞かれていないという事です。

【参考】カルビーの社”無い”文化/カルビー
https://www.calbee.co.jp/recruit/about/culture/

社長が一人ひとりと会話することで、社風が変化/XEN GROUP

香川県で金属加工業などを展開するXEN GROUPでは、見学に来た外部の方から「従業員が仕事に責任を持ち働いている」「雰囲気が良い」と言われるそう。しかし、かつては社内の雰囲気は最悪で、大量退職も経験されています。社風が変化した要因はさまざまありますが、大きくは社長が年2回、従業員一人ひとりと向き合ってコミュニケーションを取ることにあります。200名近い社員に対し、これからの会社の方針を直接伝えるとともに、従業員の本音も引き出しています。それにより、社内の雰囲気は改善し、思いやりや協調性も生まれています。結果、離職率も低く、自ら考えて行動する自律的な組織に変わっています。

【参考】「君がそんなだから社員が幸せになれない」強烈な叱責で目が覚めた。稲盛和夫氏の教えが企業変革の礎に/BizHint
https://bizhint.jp/report/799886

【おわりに】

いかがでしたか?記事中でもご紹介しましたが、「社内コミュニケーション」を活性化するには、やはり従業員が同じ方向を向いている、という事が非常に大事だと感じています。取材に伺う企業でも、社員同士がコミュニケーションを取りながら、雰囲気良く仕事をしている企業は、しっかりと理念が共有されています。さらに、1on1や社長面談、徹底した評価制度など、従業員の声を吸い上げる仕組みが出来上がっているケースも多くあります。それにより、安心して声を挙げられる「心理的安全性」の高い状態が生まれ、結果的に上司部下関係なく、社内コミュニケーションが活性化されるのではと思いました。

この記事を書いたひと

三神早耶(みかみさや)

大学卒業後、広告代理店に入社。企画営業と制作進行管理を兼務。その後、出版社でコンサルティング営業、国立大学でeラーニングツールの運営や広報サポートなどを担当し、2016年よりフリーライターに。経営者向けウェブメディア等で、経営者インタビュー、組織改革、DXなどについて取材・執筆。

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