テレワークで難航する人事評価を改善!クラウド型人事評価システム5選

テレワーク,働き方

テレワークの導入が進むなか、その仕事ぶりが見えなくなってしまい「人事評価の難しさを感じている」という人事・採用担当者が増えています。そして社員側も「会社の人事評価制度に満足していない」と感じている人が多いという調査結果も……。一体、テレワークの普及により「人事評価」に何が起きているのでしょうか。

今回は、テレワークにおける「人事評価」の難しさ。人事評価がうまく運用できないことによる弊害。そして、テレワークでも人事評価制度をスムーズに運用できる「クラウド型人事評価システム」それぞれのポイント、特徴などについてまとめました。

テレワークで仕事ぶりが見えず「人事評価」は難航

コロナ禍でテレワークが普及し、人事評価が難しいと感じている企業が増えています。ピープルアナリティクスサービスを提供する株式会社アッテルの調査(2021年1月)によると、「コロナ禍の影響で人事評価の難しさを感じていますか」という問いに対し、約63%の人事・採用担当者が「すごく感じている」「どちらかというと感じている」と回答しました。

その理由として、

◎テレワークによるプロセスの評価が難しくなったため…53.9%

◎成果主義に変えたいが社内で制度ができていない…49.7%

◎テレワークと非テレワークの社員が両方いるため評価軸が難しい…31.4%

という結果となりました。テレワークで社員の勤務態度や行動が見えなくなってしまい、これまで運用していた人事評価制度では対応しきれなくなっているようです。これらの理由から、テレワークにおいては社員が出した成果を数値として評価する「成果主義」が適していると言われていますが、いわゆる「日本型雇用」と言われる「年功序列」などの風土が残る企業では、そもそも成果主義の考え方が無く、早急な導入が難しくなっています。

【引用】テレワーク拡大で評価軸が「成果主義」に変化 同時に人事評価が難しくなったと感じる人は約6割/株式会社アッテル
https://attelu.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/public/20210215_PressRelease.pdf

社員は人事評価に「不満」が46%

それでは、実際に社員はどう思っているのでしょうか。ITツール比較サイト「STRATE」を運営する株式会社SheepDogの調査(2022年4月)では、全国に住む20〜39歳の会社員に対し「勤務先の人事評価に満足していますか」という質問を投げかけました。すると、

◎評価制度がない・認識していない…29%

◎不満があり、制度が不透明・納得しにくい…31%

◎不満があり、人事担当を信頼していない…15%

◎満足している…24%

という結果となり、「不満」が合計で46%となりました。どうすれば評価が得られるのかが不明瞭であり、自身に与えられた評価にも納得がいっていない様子が見て取れます。

筆者も営業職時代、「年功序列型」の企業に勤務していました。人事評価制度は無く、どれだけ頑張って利益を出してもインセンティブは支給されず、一方で目標に達しない場合は叱責されるという状態。どちらかと言えば、日々「怒られないため」に仕事をしており、そのモチベーションはいつも低い状態にあったと記憶しています。離職率も高い組織でした。

逆に転職した先は「成果主義」の企業であり、「これだけ成果を出せば、この額のインセンティブが出る」という明確な評価指標を、社員に分かりやすく説明していました。また、個人だけでなくチーム達成でのインセンティブもあり、全員が同じ目標に向かって頑張るという非常に士気の高い組織も経験しました。

制度以外にもさまざまな違いのある2社ではありましたが、「人事評価制度」は組織の雰囲気、そして会社の業績にも間違いなく関係していると、身をもって感じました。

【引用】20代~30代会社員の46%が会社の人事評価に満足していないと回答/株式会社SheepDog
https://strate.biz/jinjireview/talentmanagement/recommend_jr/#e1

人事評価がうまくいかないと何が起きるのか

テレワークで、これまでの人事評価制度がうまくいきづらいこと、そして社員も満足していないことが分かりました。それでは、人事評価がうまく運用できていない場合、組織では何が起きるのでしょうか。

モチベーションの低下

まずは、社員のモチベーションの低下です。そもそも「人事評価制度」が無い、もしくは正しく機能していない場合、頑張っている人も、そうでない人も「年功序列」的な評価で待遇が決まります。すると、特に会社に貢献している優秀な人材ほど、何のために働いているのかが分からなくなってしまい、結果モチベーションの低下を引き起こしてしまいます。

人が育たない/適切な人材配置ができない

人事評価が機能していない場合、会社側は社員一人ひとりが持っているスキル、特性などについて把握できていない場合が多いでしょう。そのため、誰をどのように育てて良いのかが分からず、形式的な人材育成に終始してしまいます。結果、社員は「この会社では成長できない」と感じてしまうのです。

それぞれの特性を把握していないことにより、適切な人材配置も難しくなります。すると、業務と個人のスキルにミスマッチが起きてしまい、生産性の低下や、最悪の場合、離職を招いてしまいます。

離職率の向上

そもそも人事評価が適切でない場合「上司は自分のことを理解していない」「自分の方が会社に貢献しているのに、あの人よりも評価が低い」など、社員の中に不信感や不平等感が生まれてしまいます。

すると、同僚、上司と部下、そして会社と社員との関係性は構築しづらくなり、結果的に離職につながってしまいます。現在は「売り手市場」と言われています。つまり、採用が難しい時代。一人ひとりが貴重な「人財」であることを理解し、社員が納得できる人事評価制度を構築する必要があると言えます。

オンラインで完結!クラウド型人事評価ツール5選

テレワーク環境において人事評価制度を新たに設ける、もしくは刷新する場合、「クラウド型」であることは避けて通れないでしょう。今回は、オンラインで完結できるクラウド型人事評価ツールの特徴やポイントなどについてご紹介します。

あしたのクラウドHR/株式会社あしたのチーム

【ポイント】

◎人事システムシェアNo.1を多数受賞し、導入企業4,000社
◎カスタマイズ性が高く、現行の人事評価制度をそのまま使える
◎評価制度の構築や運用まで、プロがサポート

【詳細】

人事評価制度の構築・運用「あしたのチーム」を手がける、株式会社あしたのチーム社の人事評価クラウドです。これまで4,000社以上に導入されており、数多くの受賞歴があります。

「あしたのクラウド」は、「人事評価制度」に特化したシステムで、目標設定・評価・査定・給与確定など、本当に必要な機能だけが搭載されています。そのため業種・業態、そして企業規模を問わず活用することができます。また、人事評価プロセスの中で煩雑な「目標の添削」をAIが自動で行う機能もあり、管理者の業務負担を軽減してくれます。

導入後のサポート体制も万全で、分かりやすいマニュアルに加え、セミナーや交流会、ミーティグなどで「おせっかい」なほど、担当者がサポート。その満足度は96%にものぼっており、人事部や人事担当者が不在の組織でもスムーズに運用できます。

【料金】
要見積もり

【URL】
https://cloud.ashita-team.com

SmartHR/株式会社SmartHR

【ポイント】

◎労務管理クラウド4年連続シェアNo.1 登録者数50,000社以上
◎人事・労務に関する機能を網羅しており、煩雑な業務負担を1/3へ
◎評価プロセスや結果の見える化で納得感のある人事評価に

【詳細】

デロイトトーマツミック経済研究所「HRTechクラウド市場の実態と展望2021年度」において、労務管理クラウドとして4年連続のNo.1を獲得。登録社数は50,000社以上と、圧倒的に「使われている」人事労務システムです。

人事データベース、労務管理、人材マネジメントなど多くの機能があり、「人事評価」も搭載。SmartHRに蓄積した社員情報と連携できるので、効率的な運用が可能となります。テキスト入力、表組み、選択肢など多くのパターンの評価シートを作成でき、これまで使っていた人事評価を再現しやすくなっています。

また、社員の過去の評価、今後の目標が設定できることはもちろん、評価者がこれから何をすれば「評価確定」となるのかを簡単に確認できます。そのため、評価の工程が見える化され、評価者・被評価者が互いに納得感のある評価が実現できます。

シンプルで、直感的な操作も特徴のひとつ。ITリテラシーを問わず、誰でも簡単に使いこなすことができるシステムです。

【料金】

◎初期導入費用・サポート費用無料
◎月額は要見積もり(プランと契約人数で計算)

【URL】
https://smarthr.jp/function/evaluation/

ヒョーカクラウド/株式会社シーグリーン

【ポイント】

◎業界最安値で導入できる、高品質な人事評価システム
◎MBO評価、コンピテンシー評価、360度評価などあらゆる評価に対応
◎「1on1ミーティング」の管理も可能

【詳細】

「業界最安値」とされる、月額3万円から導入可能なシステム。300社、500事業所に導入されています。これまで、紙ベースやExcelで管理していた人事評価の業務を50%削減することを掲げています。

目標管理「MBO評価」、パフォーマンスの高い人材の行動特性を可視化する「コンピテンシー評価」、上司からの評価だけでなく、部下など多方面から評価を受ける「360度評価」など、多くの評価制度に対応しています。また、アンケート機能もあるため、定期的なES(従業員満足度)調査も可能。そのデータを分析し、次の施策に生かせます。

また、近年多くの企業で導入されている「1on1ミーティング」の管理機能も搭載。面談の内容をデータで残す「面談管理」、ミーティングのアジェンダを事前登録できる「アジェンダ共有」、そしてMBO(目標管理制度)などの評価とのデータ連携で、1on1をさらに効果的に運用することができます。

【料金】

◎要見積もり
◎30,000円/月額〜

【URL】
https://www.seagreen.co.jp/lp/hyoka-cloud/

Unipos(ユニポス)/Unipos株式会社

【ポイント】

◎社員同士が「賞賛のメッセージ」「少額インセンティブ」を贈り合う仕組み
◎組織の心理的安全性を高め、チャレンジングな風土づくりを支援するシステム
◎30名〜2,000名以上の組織まで、幅広い企業規模に対応

【詳細】

社員同士が「貢献に対する賞賛のメッセージ」「少額のインセンティブ」を送り合う「ピアボーナス」。これを実現するサービスが、Uniposです。例えば同僚に「相談に乗ってくれてありがとう」とインセンティブを送信。それが蓄積されると、さまざまな報酬と交換することができます。また、贈った側・もらった側に対して、その他の社員が少額のインセンティブを贈ることも可能。

これにより一人ひとりの「貢献」が見える化され、それに対する「称賛」が組織の文化となることで、まず「心理的安全性」を高めることができます。それにより、エンゲージメントが向上し離職率の低下が見込めます。また、社員のやりがいやモチベーションにもつながり、生産性の向上にも繋がります。

実際に、千葉県の保育園運営企業では、導入後に離職率が34%から約10%まで低下しました。同社の社員の多くはZ世代が多く、求めているのは「会社からの一方的な賞賛」ではなく「社員同士の感謝だった」と気づきます。また、心理的安全性の高い組織になったことで、若手社員からも活発な意見が出るように。社員の意識も高くなっています。

【料金】

◎要見積もり
◎従業員数、機能、オプションにより価格が変動

【URL】
https://www.unipos.co.jp/

スマレビfor360°/株式会社シーベース

【ポイント】

◎360度評価に特化したクラウドシステム
◎評価のみでなく、組織課題への取り組みまでサポート可能
◎設定は専任のスタッフがサポート

【詳細】

500社以上の実績から導き出した標準設問が用意されており、360度評価を実施したことのない企業でも手軽に導入できます。もちろん、企業の要望に合わせたカスタマイズも可能。

また、調査だけでなくそこで得られた結果に基づいて、評価者と被評価者の認識のギャップを洗い出します。それを、理解しやすいレポートとして提供するため、結果を社員に分かりやすく伝えることができます。

調査を「やりっぱなし」にするのではなく、その結果を活用し、今後どう行動改善するのかまで担当者がサポート。ゴールまで伴走します。

また、360度評価を実施することで個人単位だけでなく、部署単位でも強み・弱みを把握することができます。それにより、例えば適材適所な人材配置、昇格などの判断、またハラスメント傾向の把握などさまざまな人事施策に役立てることができます。

【料金】

◎要見積もり

【URL】
https://www.hrm-service.net/360degrees/

人事評価制度の確立は、もはや「当たり前」

いかがでしたか?筆者も、さまざまな組織を取材するなかで、最近「人事評価制度を新たに作った」「内容を刷新した」という企業が増えていることを実感しています。その背景としては「組織が拡大して、社長の目が行き届かなくなった」「評価制度がなあなあで、社員から不満の声が挙がった」「会社の目標を達成するためには、社員一人ひとりの目標達成が不可欠だった」などさまざまな理由があります。今回はテレワークと紐づけてご紹介しましたが、社会の流れとして「年功序列」の時代は終わり、しっかりとした「人事評価制度」が確立されていることが、既に「当たり前」になっていると感じています。その上で、テレワークが普及し、人手不足も慢性化している現代では、クラウド型のシステムで管理することは、非常に効率的で時代にマッチした選択であると考えています。

この記事を書いたひと

三神早耶(みかみさや)

大学卒業後、広告代理店に入社。企画営業と制作進行管理を兼務。その後、出版社でコンサルティング営業、国立大学でeラーニングツールの運営や広報サポートなどを担当し、2016年よりフリーライターに。経営者向けウェブメディア等で、経営者インタビュー、組織改革、DXなどについて取材・執筆。