テレワーク社員の評価基準はどう決める?ニューノーマル時代の人事評価制度

テレワーク,働き方

企業におけるテレワークは、政府の働き方改革の柱とされたこともあり、急速に普及し始めています。しかし、急遽導入された新しい働き方であり、企業のシステムとして対応しきれていない課題もあるようです。

今回は特に対応が遅れている人事評価のポイントについて考えてみましょう。

テレワーク環境下での人事評価は、する側・される側双方が不安を感じやすい

テレワーク環境下の評価について、評価される社員の方も、評価する立場である管理職の方も、不安を抱いています。

このことはパーソルプロセス&テクノロジー株式会社が2020年11月に行った「テレワーク中の評価に関する意識・実態調査」により結果がでています。

それによると、評価される側の社員で4割以上、評価する側の管理職で半数以上が評価の正当性に不安があると感じています。さらに問題なのは、このような状態であっても、人事評価の仕組みを見直したと回答する企業が全体の1割に満たないことです。

社員の不安を解消するためにも、テレワーク環境に対応して、人事評価制度の再構築が求められています。しかし、それを難しいと感じて「どう変えていけばいいかわからない」とそのまま何もしないでいる企業も多いようです。

まずは問題点の洗い出しを行い、変更点のポイントを考えていきましょう。

テレワーク社員の評価はなぜ難しい?企業が抱える評価制度の課題

テレワーク導入による人事評価の見直しが進まないのはなぜでしょうか?一番の理由はテレワーク導入が急遽決まった企業が多いことでしょう。

2020年以降のテレワーク導入には、新型コロナウィルス感染症拡大の防止対策の側面があります。政府もそのことを意識して「働き方改革の切り札」と言っていました。

システム導入が急速だったために、対応が間に合わず未だに課題に向き合えていない企業が多いようです。そこで、これから問題点を整理して、課題を浮き彫りにしていきましょう。

働いている様子を直接確認できないため、勤務態度や業務プロセスでの評価が難しい

テレワーク環境下の人事評価にとって最大の問題点は、上司が部下の様子を直接目で確認できないことです。日本では成果主義重視の評価制度だけではなく、プロセス重視の評価制度も大事にする傾向にあります。

しかし、テレワークでは社員間の距離が物理的に遠く、面接や面談がカメラを用いた「オンラインミーティング」となり、プロセス評価が難しくなりました。

オンラインミーティングは、プロセス評価のための仕事への取り組み方やモチベーションを確認できるのですが、問題となる点が2つあります。

ひとつは、面接や面談相手が特定の人物のみになってしまい、他のチームメンバーとのコミュニケーションが低下してしまうことです。

もうひとつは、業務に関するコミュニケーションばかりで雑談などがしづらく、仕事への意欲や手法への疑問など、深い部分を知る機会が減少しているようです。

急なテレワーク導入により、明確な評価指標の作成が間に合っていない

前述したように、テレワーク導入は急遽決定した企業も多く、仕組みの整備が間に合っていません。そのことも問題点のひとつとなっています。

人事評価では、全体的な評価指標が定まっていない状態が多くみられます。そのため人事担当者やマネジメント層など、評価を下す側の評価基準が、その人自身の判断で行う、いわゆる「属人化」の状態にあります。

判断が属人化されてしまうと、基準が人に左右されるため、ばらつきが生じて不公平感が生まれます。これが進むと、テレワークでの人事評価に対する不安の原因となっていきます。

評価する側・される側双方にある不安を払拭するためには、全体的な評価指標や評価基準を速やかに見直し、評価項目を明確化する必要があります。

ニューノーマル時代における人事評価制度構築のポイントは「明確な基準」と「公平性」

ここまではテレワークの普及に対する人事評価の課題についてみてきました。では、この課題を解消するための見直しには、どのように対応すればいいでしょうか。

そのための2大ポイントが「明確な基準」と「公平性」です。評価する側・される側双方へのわかりやすさが大切になります。

ここからは、この2つを中心に、構築案の概要について考えていきましょう。

「評価されない」不安感は、明確かつ透明性の高い評価項目の設定で払拭

テレワークの人事評価で最も効果的なのが、評価項目の明確化です。明確で透明度の高い項目が設定されることで、評価指標も統一され属人化によるブレもなくなります。

項目を設定する際に大事になるのは、プロセスと成果のバランスを考慮することです。リモートワークではプロセスが見えないことから、成果主義による評価を重視する傾向にあります。

しかし、成果主義に偏りすぎると社員のモチベーション低下につながります。仕事の内容や職務によって、成果とプロセスの評価の比重はそれぞれに違うため、評価する側がそれを考慮する必要があります。

プロセスを評価するためには、業務予定の報告や完了報告を密に行う工夫が大切です。定期的なオンラインミーティングなどで「いつまでに、何を」行うかについて、具体的に話し合うことが大事になります。

また、評価される社員側からの相談や報告など、アウトプットをどうするかについても、あらかじめ話し合って決めておくようにしましょう。

テレワークと出社勤務で、人事評価に不公平感が生まれないよう注意

テレワークの人事評価で不公平感はなぜ生まれるのでしょうか。それは、出社勤務の社員との比較があるためです。

出社勤務の社員はテレワーク社員と違って、働きぶりが見えやすく、評価者に近いためコミュニケーション量が多くなります。すると、テレワーク社員と比べて評価が偏るおそれもあり、たとえ偏りがなくとも、テレワーク社員にはそう見える可能性があります。

だからといって、テレワークと出社勤務の間で異なる評価基準を用いるのは、公平性を損なうため危険です。双方を同じ評価基準で評価するためには、テレワーク社員とのコミュニケーションを深めるための工夫が必要です。

正しい人事評価を行うためには、評価基準や評価項目を見直すと共に、評価しやすい仕組み作りが大切です。成果のプロセスの見える化やテレワーク社員とコミュニケーションを深める方法など、どのように行うか考える必要があります。

テレワーク環境下で「働きぶり」を評価するために企業ができる工夫

リモートやテレワークで働く社員の人事評価には、それを「見える化」する仕組み作りが大切です。しかし、その工夫をすぐに思いつくのは容易ではありません。

簡単なやり方としては、すでに実践して成功している方法を参考にすることです。すでにテレワークを導入している企業の中には、適切な人事評価で成功しているものも少なくありません。

ここからは、成功している企業を参考に、利用しやすい制度やツールを紹介して行きます。

まず検討したい、「成果主義」と「業務プロセスによる評価」のバランス

近年は成果主義の評価制度と相性がいい「ジョブ型雇用」の導入を行う企業も増えました。テレワーク社員をジョブ型雇用で募集する方式も広まっているようです。

テレワーク環境下では成果主義の評価制度はわかりやすく、利用しやすいようです。ジョブ型雇用であれば成果物もわかりやすいので、採用されやすいのでしょう。

ただし、成果主義には問題点があります。それは成果が上がるまで評価ができないということです。特に成果物が完成するまでのスパンが長ければ長いほど、評価数は少なくなり、評価の公平性が損なわれます。

この問題を解消するためには、定期的にプロセス評価を行う必要があります。評価期間を一定にすることで社員のモチベーション低下を防ぎますし、評価回数を統一することで公平性が保てます。

プロセスと成果をどの比重で評価するのかは、企業の風土や職種などの考慮も必要です。テレワークと出社勤務が混在しているかも検討の対象になってきます。

事前に設定した目標の達成率や取り組み内容で評価する「目標管理制度(MBO)」の導入

MBOは元々ピーター・ドラッカーによって提唱されたマネジメント手法ですが、目標達成度を個人で管理する方法です。日本では多数採用する企業がおり、評価項目の明確化や評価方法の統一をするのに適しているため、人事評価でも使われています。

元々はマネジメント手法であり、個人が達成したい目標を定め、実現するための取り組みや中間目標を設定し、振り返りや評価をする仕組みです。個人のモチベーション向上にも役立つと言われています。

MBOは事前に取り組み内容を定めた上で評価を行うため、テレワークでも適正な評価が実施しやすいです。ただし、全てを個人が設定するからと、個人任せにしてしまうと、不平不満が生じます。

目標管理制度は、上司と部下が目標や達成方法を綿密に相談した上で設定する必要があります。また、期間中は上司の取り組みへのサポートが大事になってきます。

意識的なコミュニケーションで、社員のモチベーションや心理状態を把握

何度も伝えてきましたが、テレワーク社員の課題は、コミュニケーションがおろそかになることです。対面でのやりとりが少なくなりますし、雑談などの機会も減少します。

これを解消するためには、意識的にコミュニケーションを密にする必要があります。社員のモチベーションや心理状態を把握するためにも、上司からの積極的な働きかけが重要です。

また、評価に直接関係する部分については、社員自身が評価する側にアピールする機会を設けるのも有効です。成果やプロセスについて、社員の考えを伝える機会があると、不安要素が軽減されるでしょう。

テレワークを支援するツールの導入もおすすめ

テレワークには、コミュニケーションを活性化するツールやアプリが多数存在します。有名なものでは「LINE WORKS」「Slack」「Chatwork」などのチャットツールや、「Skype」「Zoom」などのオンライン会議アプリなどです。

この他に、最近では仮想オフィスというものがあります。これは専用の会話ツールと違い、あいさつや雑談を気軽にするためのもので、テレワーク社員との距離を近づけるために便利です。

テレワークは今後ますます発展していく分野なので、ツールやアプリも現在の主流より便利で使いやすいものが登場する可能性があります。そのことを予想して備えておくのも大事です。

明確な評価指標を設定しよう

テレワークやリモートワークは、政府が働き方改革の切り札として推進しています。新しい働き方であり、仕組みなどの整備はまだまだ進んでおりません。

その中でも人事評価は、働き方の核となる部分です。評価の指標や基準が明確化することで、テレワークはもっと普及することでしょう。

ニューノーマル時代の人事評価制度は、「明確な基準」と「公平性」が非常に大切です。積極的に改善への取り組みを行い、新しい働き方に合った人事評価を目指しましょう。

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